初恋の終着駅


そんな話をしているうちに香澄は書き終えて、ペンとメモを駅員さんに渡した。


「白石香澄さんね、これ携帯電話の番号だよね? 授業中に電話したら、まずいよね?」


駅員さんはメモと香澄を交互に見ながら問い掛ける。


さっきの斉藤先生の会話で、私たちの気持ちはかなり解れていた。香澄の表情も、すっかり和らいでいる。


「はい、授業中は電源切ってるので……」

「そうか……じゃあ、メールするようにするから、アドレス書いてもらっていい?」


悩んだ末、駅員さんは再びメモとペンを差し出した。


アドレスを書くことに違和感なんて感じなかった。むしろ気を遣ってくれている車掌さんの親切心に、感謝してしまう。


駅員さんは、一文字ずつ慎重に書き進める香澄の手元を見つめている。





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