初恋の終着駅


最初に話した時の、頼りなさそうな駅員さんの印象は一変していた。


電話を掛けるタイミングを気にしてくれるところや同じ高校の出身と聞いてからは、親近感さえ感じるほど。


「ありがとう、見つかったら電話するか、時間がマズそうならメールさせてもらうね」


メモを受け取った駅員さんの笑顔は、頼もしい。


「はい、お願いします」


香澄と私は声を揃えた。


「とりあえず、今回はここから出て。一応帰りに声掛けてよ、今日は午前中だよね?」


にこりと笑った駅員さんは駅長室から出て、窓口と自動改札機の間の柵を開けてくれた。私は定期を手に、自動改札機へと向かう。


自動改札機から出て振り向いたら、香澄が駅員さんに深く頭を下げてる。まだ何か話してるように見えたけど、礼を言っていたのだろうか。


駅員さんは私たちを見送りながら、軽く手を挙げてくれた。






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