初恋の終着駅


ホームルームを終えて早々に教室を飛び出すクラスメイトたち。廊下を歩いていると、隣の教室の窓から羨ましそうな視線が痛い。


私たちのクラスは、いつも下校が一番早い。先生の手際がいいのか、面倒臭がりなのか、どちらにしろ早く帰れるのは嬉しい。


私が下駄箱の靴を入れ替えてる傍で、香澄が携帯電話を触っている。


「麻衣、メール届いてる! さっきの駅員さんから、定期が届いてるから帰りに寄ってって、よかったぁ……」


心から安堵した表情を見せる香澄を見て、私も安心した。


「よかったじゃない、ちゃんと届けてくれたんだね」

「うん、ありがとう」


香澄の笑顔が嬉しい。
そして定期が見つかったこと、あの駅員さんが連絡してくれたことも。



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