初恋の終着駅
やがて到着した電車は普通。普通は後から到着する特急が先に出発するのを、この霞駅で待つことになっている。
改札口へ向かう人、特急に乗り換えのために反対側ホームに並ぶ人の波が途切れた頃、私たちはベンチから立ち上がった。
「普通で帰ろうか、どうせ急がないし」
問い掛けた妹は、私の返事を待たずに普通に乗り込んでいく。
混雑が苦手な私を気遣ってくれているのか、単に自分が座りたいだけなのか、よくわからないけど私は黙ってついて行く。どちらが姉だかわからない。
シートに座って、ふうと息を吐いた。
まだ、香澄と諏訪さんの姿が鮮明に蘇ってくる。
「お姉ちゃん、気にしすぎだよ。友達だから全部言えることばかりでもないし、全部知ってないといけないわけでもないんだから」
ぼそっと口にしただけのようなのに、胸が震えた。振り向いたら、妹がにこりと笑う。