初恋の終着駅
5. 隠しごと
月曜日、いつも通りの通学電車。相変わらずな混雑、人波に流されて電車に乗り込む。
「おはよう、香澄」
「麻衣、おはよう。また一週間始まったね」
いつも通りの挨拶を交わす私たち。
私が見せた笑顔、香澄が見せてくれる笑顔。今までと何も変わらない。
もちろん香澄は、何にもなかったような顔をしてる。私に見られていたことも知らないで。
諏訪さんと付き合ってるの?
尋ねたら……
香澄はどんな顔をするだろう。
尋ねることができたら、少しぐらいは気持ちが楽になるのかもしれない。
だけど、私は決めたんだ。
絶対に自分からは聞いたりしないと。
それに、私が尋ねるよりも先に香澄から打ち明けてほしいから。
友達だから言えないことはあると妹は言ったけど、香澄なら話してくれると私は信じていたかった。