初恋の終着駅


家に帰った途端に、どっと熱が出た。部屋に入ったところまでは覚えているんだけど、その後の記憶がない。


暗闇で私の名前を呼んでくれる声が、いつの間にか母の声にすり替わった違和感で目覚めた。目の前には仕事から帰ってきたばかりの母の顔があって、私は制服のままベッド上に寝転がっていることに気づいた。


窓の外は真っ暗で、自分がどこにいるのか瞬時にわからない。眉間にシワを寄せた母が顔を近づけてくる。


『制服のまま寝転んだら、制服がくしゃくしゃになるでしょう。家に帰ったらすぐに着替えなさいって言ってるでしょう』


普段なら母はこんなことを言うはずだけど、今日は言わなかった。


「どうしたの? 熱? 学校は早退したの?」


と言って、おでこに触れてくれた母の手は冷んやりとして気持ちいい。




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