初恋の終着駅


翌日、熱は下がったけど学校は休んだ。頭がぼーっとして、体がだるくて動く気になれない。


『もし動けそうなら病院行きなさいね、 しんどくて無理なら寝てなさい、お腹が空いたら冷蔵庫のスポーツ飲料飲んでね』


起きたばかりでまだぼんやりしている私に慌ただしく告げて、母は仕事に出掛けていった。テーブルの上に、保険証と病院の診察券とお金を置いているからと付け加えて。


もう小さい子どもじゃないから、私が体調が悪くても仕事を休んでくれたりしない。母に仕事を休んで傍にいてほしいとは思わないけど、やっぱり家にひとり残されるのは寂しい。


季節の変わり目だから、少し体が弱っているだけだろう。動くのがしんどいから病院には行かず、ベッドで寝ていよう。


睡眠第一、思いきり寝たらすぐに治るはず。


その前に香澄に連絡しておかなくちゃ……







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