初恋の終着駅


香澄と諏訪さんは、順調に付き合い始めている。


諏訪さんの仕事は交代勤務だから、土日のどちらかに会えるとは限らない。だけど平日の学校帰りに待ち合わせて会っているんだと、香澄が楽しそうに話してくれた。


そして諏訪さんは二十三歳。大学を卒業して、今年の四月に入社したばかりらしい。研修期間を終えて、九月に駅員として駅に配属されて、まだ右も左も分からないのだと。


だからあの時、あんなに頼りなさそうだったんだと納得できた。


まだ付き合い始めて間もないけど、会うたびに新たな発見がある。諏訪さんのいいところを見つけては、どんどん好きになっているのがわかると香澄は頬を赤らめながら話してくれる。


それだけで、香澄が諏訪さんのことをどれだけ好きなのかわかるし、聴けることが何より嬉しい。



< 75 / 80 >

この作品をシェア

pagetop