初恋の終着駅
乗り込んだ車内に、車掌さんのアナウンスが流れてくる。
柔らかな声とともに浮かび上がるのは、曽我部さんの顔。照れ臭くて俯き気味になる私に、そっと香澄が肩を寄せてくる。
「麻衣、今度はいつ会うの?」
意味深な笑みを浮かべた香澄が、私の顔を覗き込んだ。
「今度は……土曜日の午後、朝帰ってきて少し休んでから会おうって言ってくれてるけど、なんか悪いなぁ……」
「でも、会えたら嬉しいでしょ? 曽我部さんが大丈夫って言ってるなら大丈夫だよ」
香澄は笑ってくれる。
曽我部さんは乗務員だから、駅勤務の諏訪さんと違って夜勤勤務があったり、泊まり勤務があったり、交代勤務でも不規則らしい。