初恋の終着駅


それなのに、曽我部さんは時間を合わせて会ってくれる。申し訳ないけど、本当は会えて嬉しい。


私が香澄に打ち明けた日の夕方、学校からの帰り。いつものように大手駅で電車を降りた私の前に、曽我部さんが現れた。


制服じゃなくて私服姿だったけど、曽我部さんだと一目でわかる。


駅を出たロータリーの端っこに立っていて誰かを待っている風だったから、会釈して通り過ぎようとすると、


「待って、麻衣ちゃんに話があるんだけど、いい?」


と呼び止められた。


一気に顔が熱くなる。
姿を見るだけでも、会釈するだけでも恥ずかしいのに。声を掛けられて名前を呼ばれるなんて……


思考が停止して混乱する私に、曽我部さんは優しい声で言ってくれた。




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