初恋の終着駅
この車掌さんのことを教えてくれたのは香澄。ちょうど四ヶ月前、二年生になった五月の連休明けのに教えてくれた。
『この車掌さん、すごくいい声だと思わない?』
通学の車内で、この車掌さんのアナウンスが流れてきた時のこと。恥ずかしそうな顔をして、私に顔を寄せて声を潜めた。
だけど、驚かなかった。私もこの車掌さんの声が気になっていたから。
香澄と私は似ている。
私たちは高校に入学してから知り合った。一年生の時に同じクラスで出席番号が前後、二年生から進路別のクラスになっても同じクラス、さらに二年生になって進路別のクラスになっても同じ。三年生も持ち上がりだから、香澄とはずっと一緒ということだ。