時の旅人

「私は貴方。満足??」





―…ドッ




「っくぁ……っ…!!!」


そしてアンナからも華が流れだす。
紅く、黒い、華。

胸を貫通しているのは剣だった。
他のヒトの血が大量にこびりついている。


アンナは剣を掴んで震える声を出す。



「抜く…な……」



するとその少女は口端をにやっと上げて勢い良く剣を抜いた。





「っあ!!!!」





目の前が霞んでいく

全てがぼやけて見える。

あたしも最期かぁ
最期に好きなヒトの名前ぐらい思い出したかったなあ





「サヨナラ。」






あの子がそう呟いた気がしたけど、そんなのはもうアタシには聞こえていなかった。
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