秘密
*その5*
週明け。
出勤したらうちの課が大騒ぎだった。
あの女ったらしの井村課長が靡かないので有名な早瀬をおとした。
らしい。
「ナナ、なんか綺麗になってる〜!」
隣のデスクから覗き込む彩。
全く…からかわないで。
「変わらないよ。なんで綺麗になるのよ、大体。」
ウフフ、と彩は含み笑いして近付いてこそっと言う。
「彼氏とエッチした次の日、化粧乗りがいいんだよ、知ってる?」
「は⁈」
なによ、それ。
ニコニコ顔の彩に怒る気力を無くしてしまう。
「もう合コン誘わないでね。怒られちゃうから。」
「ね、ホントのとこどうなの?課長と付き合ってるの?あの噂、ホントなの?嘘なの?」
真面目に聞いてくるあたり、憎めない。
「うん。付き合ってる。ホントだよ。」
デスクに突っ伏してひとり悶絶している彩を横目に仕事を始める。
「付き合ってる、だってー!きゃー!なんかイケナイ想像しちゃーう!」
ひとり赤くなってわぁわぁ言ってる彩。
若いなぁ。
同い年だけどね。
「でさっ、もう寝ちゃった?課長と!」
「彩っ!」
ホントにもう、仕事とプライベートの境目がないんだからっ!
怒った顔をわざとしてみせたら、えへっ、と舌をだして笑った。
「あの噂、どうなのかなって思ったのよー、ナナになら聞けるじゃん?」
「噂?100人ってやつ?」
聞き返したら首を横にブンブン振られた。
「違う違う、すんごいテクニシャンだ、って話!」
…ホントもう。
嫌になる。なんなのよ、この子…。
「知らないわよ。もう、いい加減仕事しなよね!」
照れ臭いから顔は見せずに彩に言うとパソコンを立ち上げた。
社内メールをいくつか確認し、今日やるべき仕事などを振り分けていく。
デスクに置いていたスマホが振動してメールを知らせた。
(誰かな?)
開くと圭からのメール。
件名:幸せか?
本文:おはよ。井村の奴、ちゃんと理解してくれたか?
まぁ俺が認めた男だから大丈夫だろうがな。安心して幸せになれ。
俺の事は気にしなくていい。
世の中がどんだけ変わっても、お前と俺が兄妹ってことだけは変わらねぇから。
これからは井村を頼っていけよ。
頑張れ、ナナ。
あ、報告忘れてた。
麻美が妊娠した。今4ヶ月だって。来年パパになるよ。
以上。
ガタっと大きな音をたててしまったけど、余りの嬉しさに勢いがついてしまった。
隣で彩がビックリしてる。
「どしたの⁈ナナ?」
「あ…ごめん、圭…兄のとこ、赤ちゃんができたってメールが来てて…」
彩がわぁ!おめでた?なんて言うもんだから、周りの目が一斉にあたしに向いた。
「いや!あたしじゃないから!」
仕事をしていて気が付いてなかった彼に、早く伝えたくて気持ちだけが焦る。
「しょ…じゃないや、井村課長、ちょっと!」
周りの目も気にせず、彼の腕を引っ張って喫煙室まで連れて行く。
「何?どした、早瀬。」
仕事モードの井村は何が何だかわからない、不思議そうな顔をしている。
誰も居ないのを確認するなり抱き付いた。
「おいって!お前」
「圭がパパになるって!」
「マジか⁉」
誰かと喜びを共有出来る幸せ。
メール画面を見せる。
「マジか〜、圭史さんがパパか〜。なんかお祝いしなきゃだな。」
「嬉しくて!翔太さんに教えたくて…ごめんなさい、周りの事考えてなかった…!」
よくよく考えたら、よろしくない状況なのでは。
「ま、いいよ。どうせ知らしめようと思ってたからな。
ナナは俺のだ、って。」
ニヤッと笑う井村。何をするつもりだったんだろう。
「手間が省けたな、ナナ。…っていうか、ここ、仕事場。抱きつくならうちに帰ってからにしろよ。」
コツンと頭に手が当たる。
そのまま頭を胸に引き寄せられる。
「そのうち、ナナもママにしてやるよ。待ってろ。」
「…はいっ!」
嬉しい言葉が胸をほんわかあったかくさせる。
いい事だらけだ。
なんて幸せ。
出勤したらうちの課が大騒ぎだった。
あの女ったらしの井村課長が靡かないので有名な早瀬をおとした。
らしい。
「ナナ、なんか綺麗になってる〜!」
隣のデスクから覗き込む彩。
全く…からかわないで。
「変わらないよ。なんで綺麗になるのよ、大体。」
ウフフ、と彩は含み笑いして近付いてこそっと言う。
「彼氏とエッチした次の日、化粧乗りがいいんだよ、知ってる?」
「は⁈」
なによ、それ。
ニコニコ顔の彩に怒る気力を無くしてしまう。
「もう合コン誘わないでね。怒られちゃうから。」
「ね、ホントのとこどうなの?課長と付き合ってるの?あの噂、ホントなの?嘘なの?」
真面目に聞いてくるあたり、憎めない。
「うん。付き合ってる。ホントだよ。」
デスクに突っ伏してひとり悶絶している彩を横目に仕事を始める。
「付き合ってる、だってー!きゃー!なんかイケナイ想像しちゃーう!」
ひとり赤くなってわぁわぁ言ってる彩。
若いなぁ。
同い年だけどね。
「でさっ、もう寝ちゃった?課長と!」
「彩っ!」
ホントにもう、仕事とプライベートの境目がないんだからっ!
怒った顔をわざとしてみせたら、えへっ、と舌をだして笑った。
「あの噂、どうなのかなって思ったのよー、ナナになら聞けるじゃん?」
「噂?100人ってやつ?」
聞き返したら首を横にブンブン振られた。
「違う違う、すんごいテクニシャンだ、って話!」
…ホントもう。
嫌になる。なんなのよ、この子…。
「知らないわよ。もう、いい加減仕事しなよね!」
照れ臭いから顔は見せずに彩に言うとパソコンを立ち上げた。
社内メールをいくつか確認し、今日やるべき仕事などを振り分けていく。
デスクに置いていたスマホが振動してメールを知らせた。
(誰かな?)
開くと圭からのメール。
件名:幸せか?
本文:おはよ。井村の奴、ちゃんと理解してくれたか?
まぁ俺が認めた男だから大丈夫だろうがな。安心して幸せになれ。
俺の事は気にしなくていい。
世の中がどんだけ変わっても、お前と俺が兄妹ってことだけは変わらねぇから。
これからは井村を頼っていけよ。
頑張れ、ナナ。
あ、報告忘れてた。
麻美が妊娠した。今4ヶ月だって。来年パパになるよ。
以上。
ガタっと大きな音をたててしまったけど、余りの嬉しさに勢いがついてしまった。
隣で彩がビックリしてる。
「どしたの⁈ナナ?」
「あ…ごめん、圭…兄のとこ、赤ちゃんができたってメールが来てて…」
彩がわぁ!おめでた?なんて言うもんだから、周りの目が一斉にあたしに向いた。
「いや!あたしじゃないから!」
仕事をしていて気が付いてなかった彼に、早く伝えたくて気持ちだけが焦る。
「しょ…じゃないや、井村課長、ちょっと!」
周りの目も気にせず、彼の腕を引っ張って喫煙室まで連れて行く。
「何?どした、早瀬。」
仕事モードの井村は何が何だかわからない、不思議そうな顔をしている。
誰も居ないのを確認するなり抱き付いた。
「おいって!お前」
「圭がパパになるって!」
「マジか⁉」
誰かと喜びを共有出来る幸せ。
メール画面を見せる。
「マジか〜、圭史さんがパパか〜。なんかお祝いしなきゃだな。」
「嬉しくて!翔太さんに教えたくて…ごめんなさい、周りの事考えてなかった…!」
よくよく考えたら、よろしくない状況なのでは。
「ま、いいよ。どうせ知らしめようと思ってたからな。
ナナは俺のだ、って。」
ニヤッと笑う井村。何をするつもりだったんだろう。
「手間が省けたな、ナナ。…っていうか、ここ、仕事場。抱きつくならうちに帰ってからにしろよ。」
コツンと頭に手が当たる。
そのまま頭を胸に引き寄せられる。
「そのうち、ナナもママにしてやるよ。待ってろ。」
「…はいっ!」
嬉しい言葉が胸をほんわかあったかくさせる。
いい事だらけだ。
なんて幸せ。