秘密

新たな人生。

サプライズの式を済ませ、届けを出して。


今日から“井村 ナナ”に。

なんだかこそばゆい。

翔太さんが旦那さんって、夢じゃないだろうか。

「仕事は今まで通りで。ナナは子供が出来るまではそのままがんばってくれ。」


そう言われて。


子供かぁ。


麻美さんみたいな素敵なひとになれるかな。

圭と麻美さんのベビィ、会うのはもう少し先だけど。

いいな。なんか、存在が幸せ。

「翔太さん。」

「ん?」


とりあえず、聞いてみたい。

「赤ちゃん、男の子と女の子、どっちがいい?」


部屋の中を忙しなく動いていた翔太が立ち止まる。

「うーん。どっちかな。元気ならどっちでもいいけどな。女の子だったら、誰かに取られる心配があるから、男の子かな。あ、でも俺に似たら嫌だなぁ。」


真剣に悩んでる。ふふふ。

「何だよ、笑うか?」
「ううん、真剣に悩んでくれるんだなって。嬉しくて。」


近寄ってきた翔太に抱きしめられる。

「じゃあさ、どっちでもいいから赤ちゃん出来るように頑張らないとな。」
「え?」

ニヤ、と笑う。嫌だ、これ、何か企んでる。


「避妊しないでナナを堪能していいんだよな。頑張ろうな、ナナ。」


グイッとお姫さま抱っこされて慌てる。

「いや、、だからできた場合の話で!
まだふたりきりで楽しみたいって、、、翔太さん!」



ナナのお腹にふたりのベビィが訪れるのはまだまだ先のお話。



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