週末シンデレラ番外編SS集
番外編SS5:想いの伝え方
※10/10発売の文庫とリンクしている部分があります。
……が、文庫をお読みいただかなくても大丈夫だと思います。※
征一郎さんを好きだと思う瞬間はいっぱいある。
ふとしたときの笑顔や、耳を赤くして照れている姿。
もっと具体的に言うなら、転びそうになったときに手を差し伸べられた瞬間や、けがをして心配してくれるとき。
ほかにもいっぱいあるのに、その度に「好き」と口にするのは、その気持ちが安っぽくなる気がして言えずにいた。
安っぽくならないよう、でもちゃんと伝えるには、どうしたらいいんだろう。みんなはどれくらいの頻度で、どんな風にして、彼氏に「好き」と言っているのだろう。
付き合うのも初めてなら、恋バナというものも今までしてこなかったので、他の人がどんな付き合い方をしているのかわからない。
「いろいろ考えすぎてるから、ちょっと甘いものでも……あ、この雑誌……!」
食後のデザートを買いに立ち寄ったコンビニで、雑誌コーナーを見ていると『カップルの本音』という特集が組まれた女性雑誌が目についた。
美穂に聞けばいいのかもしれないけど……とりあえず、これでも読んで勉強しようかな。
「しかし……またお世話になるなんて……」
目についた雑誌は、征一郎さんと仲を深めたいと思って悩んでいたときに買った、あの女性雑誌だった。