週末シンデレラ番外編SS集
「もうっ……なんか、いろいろと回りくどいです」
……か、顔がニヤけちゃうよ……。
わたしは自然と綻んでしまう口元を隠しきれず、征一郎さんの二の腕をポカリと叩いた。
「そ、そうか……そうだよな」
「あ、いえ……わたしも素直に言えないことが多いので、征一郎さんのことを言えないんですけど……」
ちゃんと、わたしも気持ちを伝えなくちゃ。
わたしはひとつ深呼吸をすると、口を開いた。
「わたしは……頑張っている征一郎さんを応援したいので、そばにいますよ」
あ……この流れだと「好き」って言えそう!
「そんな征一郎さんがす……っ!」
好き……と言おうとした瞬間、肩を引き寄せられ、征一郎さんの腕の中に抱き寄せられた。
「詩織……ありがとう」
耳元で征一郎さんの声がする。低く甘い響きに身体中がさざめきだす。
「きみが……愛おしすぎて、たまらないんだ…………好きだよ」
「せ、征一郎さん……っ!」
めったに「好き」って言わない征一郎さんが……! しかも、本当はわたしが「好き」って言いたかったのに……。ていうか、ドキドキしすぎて……苦しい……!
回りくどいと反省したのだろう。直球ストレートな言葉と態度は、狂おしいほどわたしを戸惑わせた。
「あの、やっ、やっぱりもう少し……回りくどくていいです……」
ストレートなのは嬉しいけど、これじゃ心臓がいくらあっても足りないよ……。
いろんな想いが駆け巡りながら、しばらく征一郎さんの腕の中にいたのだった。
H25.10.8
*ちょっとイチャつかせて……というより、モジモジさせてみました(笑)
言おうと思っていたら、先に言われちゃった!というお話。
あと、ふたりをお水でゴホゴホさせてみたかったのです!
お読みいただき、ありがとうございました*