哀涙螺旋【1】
眠い。体がもう、限界。
朦朧とする意識のなか、ズキズキと痛む冷たい体に、ふいに温もりが宿った。
驚いて目線を投げ出された右手に向ける。そこにはエメラルドグリーンの猫が、私の右手にすりよっていた。
冷えて、痛くて、動かない指をぺろぺろと舐める猫。
近くで見るとその毛並みが青の混じった灰色、って気づいた。
青い猫。
エメラルドグリーンの、青い猫。
綺麗なキレイな、私の宝物。
後で知ったことだけれど、その猫はロシアンブルーという種類の猫らしい。
ロシアの青猫。
この猫は、私に何をくれるのだろうか。
「にゃう」
彼は一声こう鳴いた。
私は静かに涙を流した。
とても、あたたかかった。