衝動的な短編集ですけど何か?

「亜子ーっ!」

「んにゃ…?」


名前を呼ばれ、机に伏せていた顔を上げる。寝ぼけた目を擦ると、はっきりと自身を覗き込む
顔が見えてきた。


「もーっ! 本当に寝るの好きねっ」

「まーねー」


腰に手をあてて困ったように笑う少女、苑加(ソノカ)。彼女は亜子と小学校からの付き合いで、亜子の性格をよく把握している。


「ねぇ、亜子」

「んー?」

「今日ね、面白い夢みたの」

「面白い夢ー?」


コテンと首を傾げたその勢いで机に伏せる亜子に、ニヤリと口の端を上げて頷く。


「そう、笹倉先生の夢なんだけど」

「っ、何ぃいい!?」


声を潜めて呟くと、ガバッと音がするようなスピードで顔を上げた亜子。

その目は玩具を見つけた子どものように光り輝いている。


(…笹倉先生って、凄いわ。亜子のこんな反応久しぶりに見た)


内心驚きながらもフフッと笑みをこぼすと、苑加は近くにあった椅子に腰をおろし、話し始めた。
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