衝動的な短編集ですけど何か?
「その後、先生は海にオノを落としてしまって」
「へー」
「そうしたら綺麗な女の人が現れて言ったの」
「何て?」
「『この血に濡れたオノと金のオノ、貴方はどちらを落としましたか?』って。笑顔で」
「うわー、似たようなヤツ見たことあるわー。っていうか笑顔で言うとか絶対腹黒いよその女」
嫌そうに顔をしかめる亜子。それに苑加はクスリと笑う。
「まぁまぁ。でね、笹倉先生は迷わず金のオノを選んだ」
「選びそうだよねー。そうだと思った」
「そうしたらその女の人が鬼ババァになって先生を凄い勢いで追いかけ始めたの」
「ふっ、ざまぁっ!」
うしっ!と全力で亜子は喜ぶがこれは苑加の夢の話だ。リアルではない。
「で、先生は無表情で逃げたわ」
「……、どうしよう、想像出来すぎて怖い」
「すると空から急に光が現れて、見上げるとUFOが出現」
「おぉっ!」
「そして後ろからは物凄い顔で未だに追いかけてくる鬼ババァ。先生は仕方なくその光を浴びてUFOに吸い込まれることを選んだ」
「…うん、その状況なら誰でもそうする」