等心大〜tou・sin・dai〜
――眩しい。



目を覚ますと
窓から西陽がさしこみ
部屋中を切なく照らしていた。

夕方になると
物悲しくなるのはなぜなんだろう



のろのろと起きあがり
冷蔵庫に入っているミネラルウォーターを飲んだ。

寝ていたのでメイクがはげている
軽くメイクをなおすと
私は外に出た。



夕飯でも作っておこう。

スーパーまで歩く道
明るい小学生達とすれ違う。
数年後、
私の隣にいるであろう子供は
どんな顔をしてるだろうか。
寝起きの頭で
ぼんやりと考えた。
私の子。



楽しみよりも
不安や怖さのほうが大きい。
私はやっぱり
自分のことばかり考えてる。
子供を持つ資格なんて、ないかもしれない。

それでも
堕ろす、という選択はしたくない。
できない。



産むことも
堕ろすことも
どっちも不安で
気持ちは宙ぶらりんだ。





不安を払拭するように
スーパーで食材を次々とカゴに入れていく。

何を作るのかなんて
帰ってから考えれば、いい。



たくさん詰め込んだ袋を持って
私は心の重みを感じていた。
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