等心大〜tou・sin・dai〜
「ただいま〜」
友貴が帰ってきた時
私はキッチンでカレーの鍋をかきまわしていた。
「おかえり」
「カレーかぁ。美味そう」
「先にご飯にする?」
「うん。腹へった」
炊き上がったご飯をよそい
カレーをかける。
友貴の好きなトロミのある濃厚なカレーにした。
「はい、食べて」
「いただきます」
友貴は本当に美味しそうに
キレイに物を食べる。
ご飯を食べる、という行為は
大切なことだ。
心が元気になってくる。
どんなに辛い時も
哀しい時も
人は
きちんとしたご飯を食べなきゃいけない。
食生活が乱れると
心まで乱れてゆく。
「次いつ病院行くの?」
「え…明日行こうと思ってるけど」
「…あー俺明日は休めないな」
「いいよ、一人で大丈夫」
「気をつけてな」
「病人じゃないんだから」
「ハハッそうだな」
友貴はカレーをおかわりして
すぐにお風呂に入った。
食器を洗っていると
鼻歌が聞こえる。
幸せな時間。
誰もが幸せになりたいと
願っている。
祈りにも似た、願い。
けれど
幸せは時に怖くて
人をもろくさせる。
失うのが怖くて
逃がさないようにギュッとにぎりしめている。
だけど
にぎりしめた手では
新しいものを掴むことはできない。
そんな現実に目を反らして
今持っているものを
ただにぎりしめる。
幸せって、そんな気がする。
失わなければ気付かないこと
きっとある。
でも失うのはすごく怖くて
一人になりたくなくて
でも
“一人になりたくない”って
そう思ってる時点で
本当はもう、
一人なのかもしれない。
気付きたくはないけれど。
友貴が帰ってきた時
私はキッチンでカレーの鍋をかきまわしていた。
「おかえり」
「カレーかぁ。美味そう」
「先にご飯にする?」
「うん。腹へった」
炊き上がったご飯をよそい
カレーをかける。
友貴の好きなトロミのある濃厚なカレーにした。
「はい、食べて」
「いただきます」
友貴は本当に美味しそうに
キレイに物を食べる。
ご飯を食べる、という行為は
大切なことだ。
心が元気になってくる。
どんなに辛い時も
哀しい時も
人は
きちんとしたご飯を食べなきゃいけない。
食生活が乱れると
心まで乱れてゆく。
「次いつ病院行くの?」
「え…明日行こうと思ってるけど」
「…あー俺明日は休めないな」
「いいよ、一人で大丈夫」
「気をつけてな」
「病人じゃないんだから」
「ハハッそうだな」
友貴はカレーをおかわりして
すぐにお風呂に入った。
食器を洗っていると
鼻歌が聞こえる。
幸せな時間。
誰もが幸せになりたいと
願っている。
祈りにも似た、願い。
けれど
幸せは時に怖くて
人をもろくさせる。
失うのが怖くて
逃がさないようにギュッとにぎりしめている。
だけど
にぎりしめた手では
新しいものを掴むことはできない。
そんな現実に目を反らして
今持っているものを
ただにぎりしめる。
幸せって、そんな気がする。
失わなければ気付かないこと
きっとある。
でも失うのはすごく怖くて
一人になりたくなくて
でも
“一人になりたくない”って
そう思ってる時点で
本当はもう、
一人なのかもしれない。
気付きたくはないけれど。