等心大〜tou・sin・dai〜
人生の選択
毎日
のんびり過ごしてるだけなのに
日々はあっという間に過ぎてゆく。



春奈から帰国の報告があったのは
メールがきてから
三ヶ月も後のことだった。



お腹は
少し前に出てきたけど
まだまだ妊婦さんには見られない。

妊娠五ヶ月に入り
安定期と呼ばれる時期になった。



友貴と別れてから
ほとんど私は外に出なくなっていた。

健診に行く以外は
家の中で過ごしている。



「たまには出かけたら?」

と母には言われるけど
なかなかそんな気分にならないのだ。



どこへ行っても
どこを歩いても
友貴を探してしまう。



いるはずなんて、ないのに。
どこにも。

私から
断ち切ったはずなのに。



いつまでも未練がましい自分が
嫌になる。



何度も友貴に
メールを送ろうと思った。

友貴のアドレス
『tomo-with-aya』


変えられていたらと思うと
怖くて
ううん、もうメールなんて
送っちゃいけないんだけど
そんなことを
悶々と考えている。




そんな日々の中
春奈と会う約束は
一筋の光みたいに感じた。


春奈に話したら
何かが吹っ切れる気がする。

春奈はきっと
私に何もアドバイスはしないだろう。

思ったことを言って
だけど決して、否定もしない。


距離をはかれない人ほど
うざったいものはないのだ。
春奈は距離のとり方を
よく知っている。
遠すぎず、近すぎず
それが心地いい。



幼い頃は
友達と近すぎた。
でも今は
近すぎる関係ほど
もろく、壊れやすいように感じる。





『最後に一緒に行った店で
 待ち合わせしよう』


春奈からのメールは
そっけないようで、温かい。
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