等心大〜tou・sin・dai〜
「久しぶり〜!元気だった?!」


春奈は
待ち合わせ時間ピッタリに来た。


「元気だったよ〜
 本当久しぶり!」

二人で手をとり
再会を喜ぶと
とりあえず注文をする。


「私ビール!彩は?」

「あー…私はコーラ」

「マジでぇ〜?飲まないの?」

「うん。今日はね」

「そっか」


春奈はテキパキと注文をして
ビールがくると
ゴクゴクと美味しそうに飲んだ。



やっぱり春奈は
気持ちがいい友達だ。


女同士でいるときに
気を使いすぎたり
着飾る必要はないのだ。

ほどよい豪快さは
張り詰めている心の糸を
やわらかくゆるめる。



「なんか彩、雰囲気変わったね」

「えっ。そ、そう?」

「うん。服かなぁ〜感じ違う」



確かに服の趣味が
妊娠してから変わった。

今まではスカート派だったけど
今日はチュニックにジーンズだ。
動きやすいように
冷やさないように
パンツスタイルが多くなった。



「実はね、
 ビッグニュースがあるんだ」

「あぁメールでも言ってたよね」

「うん。実はね…
 私、今妊娠してんの」


春奈はすごく驚いて
でもすぐに笑顔になった。


「おめでとう〜〜っ!
 だからコーラかぁ〜
 やだ私すごい嬉しいんだけど」

「ありがとう。
 でもね、シングルなんだ」

「シングルって…そーゆーこと?」

「うん。そーゆーこと」


春奈は
一瞬考えるような顔をして
でもすぐに笑って言った。


「彩の決めたことだもんね。
 参観日とか私、行くからっ」

「え〜?なんで参観日?」

「パパ代わりよ!いいでしょ?」

「あははは、嬉しいよ。」


初めて妊娠のことを
友達に伝えられて
私は少し、
胸のつかえが下りた気がした。
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