等心大〜tou・sin・dai〜
友奈の“友”は
友達の“友”なんかじゃない。
友貴の――“友”
母も、父も、
気付いてるのに
何も言わないでいてくれた。
私は自分のこと、
クールだと思っていたのに
実際は未練タラタラだ。
ちっともクールなんかじゃない。
部屋に戻ると
春奈にメールを打った。
『今日健診に行ってきたよ。
赤ちゃん、女の子だって!
名前は春奈から一字もらって
友奈(ゆな)にしようと思うよ。
いいよね?』
――送信。
いいよね?、と書いたけど
春奈はダメとは言わないだろう。
友奈。
これで決定だ。
もし。
もしも友貴と
偶然会うことがあったら
友貴は怒るだろうか。
友貴と
友奈の手をひいて
三人で歩くことが
たった一度でも叶うなら
私はもう死んでもいいくらいに
幸せだ。
そんな日は
一度だって来ないけれど。
でも
それでいい。
私は
友奈が隣にいるだけで
きっと充分幸せになれる。
そんな確信にも似た予感が
消え去るとは
この時私は気付かなかった。
まったく
気付かなかった。
友達の“友”なんかじゃない。
友貴の――“友”
母も、父も、
気付いてるのに
何も言わないでいてくれた。
私は自分のこと、
クールだと思っていたのに
実際は未練タラタラだ。
ちっともクールなんかじゃない。
部屋に戻ると
春奈にメールを打った。
『今日健診に行ってきたよ。
赤ちゃん、女の子だって!
名前は春奈から一字もらって
友奈(ゆな)にしようと思うよ。
いいよね?』
――送信。
いいよね?、と書いたけど
春奈はダメとは言わないだろう。
友奈。
これで決定だ。
もし。
もしも友貴と
偶然会うことがあったら
友貴は怒るだろうか。
友貴と
友奈の手をひいて
三人で歩くことが
たった一度でも叶うなら
私はもう死んでもいいくらいに
幸せだ。
そんな日は
一度だって来ないけれど。
でも
それでいい。
私は
友奈が隣にいるだけで
きっと充分幸せになれる。
そんな確信にも似た予感が
消え去るとは
この時私は気付かなかった。
まったく
気付かなかった。