等心大〜tou・sin・dai〜
「ただいま…」



結局、何もしたくなくなって
スタバを出ると
真っ直ぐ家に帰った。



「雨なのにどこ行ってたの」

母は呆れたように言った。

「適度に動くのもいいけど
 無理はしないのよ」

「…はぁい…」

「ご飯は?」

「食べてきたからいい」

「そう」




食べてきた、なんて嘘だ。

友貴を見かけてしまい
食欲なんて出ない。

とてもじゃないけど
家族でテーブルを囲む気には
なれない。





ベッドに横になると
どっと疲れた。



ありえないことではないけど
友貴を見かけてしまうとは
思わなかった。

そして
こんなにも動揺してしまうとも。





友貴は
世界一会いたいけど、
世界一会いたくない人だ。

友貴は私のお腹が
大きいことを知らないはずだ。

会えない。





――もう、寝よう。



メイクを落としてないことに
気付いたけど
もう顔を洗う気力がなく
私はそのまま眠ることにした。




たくさん歩いたことと
精神的な疲労とが重なり
ウトウトと
すぐに夢の中へ引きずり込まれた。
< 137 / 150 >

この作品をシェア

pagetop