等心大〜tou・sin・dai〜
母は手際よくタクシーを呼び、
病院に電話をしてくれた。
「すぐだからね」
「…うん…」
母は私の肩を
タクシーの中でも
しっかりと抱いていた。
痛みは強くなるばかりで
私は「痛い…痛い…」と
うめき続ける。
「西村さん!大丈夫?!」
いつもの先生の顔を見て
少しホッとする。
腰の痛みを告げると
すぐに診察室へと連れられる。
横になった瞬間
足の間から何かが下りた。
―…え?
足元を見る。
診察台のシーツに
大量の血がにじみ、広がる。
「先生っ…血が…赤ちゃんは…」
「今診てみましょうね。
落ち着いて」
怖いよ。
赤ちゃん、どうなっちゃったの?
エコーの画面には
赤ちゃんがしっかりと
映っている。
どうか、どうか助けて下さい。
祈るような気持ちでいると
先生は
「内診もしますね」
と感情の読み取れない声で言った。
病院に電話をしてくれた。
「すぐだからね」
「…うん…」
母は私の肩を
タクシーの中でも
しっかりと抱いていた。
痛みは強くなるばかりで
私は「痛い…痛い…」と
うめき続ける。
「西村さん!大丈夫?!」
いつもの先生の顔を見て
少しホッとする。
腰の痛みを告げると
すぐに診察室へと連れられる。
横になった瞬間
足の間から何かが下りた。
―…え?
足元を見る。
診察台のシーツに
大量の血がにじみ、広がる。
「先生っ…血が…赤ちゃんは…」
「今診てみましょうね。
落ち着いて」
怖いよ。
赤ちゃん、どうなっちゃったの?
エコーの画面には
赤ちゃんがしっかりと
映っている。
どうか、どうか助けて下さい。
祈るような気持ちでいると
先生は
「内診もしますね」
と感情の読み取れない声で言った。