等心大〜tou・sin・dai〜
土曜のディズニーランドは
家族連れよりも
カップルが目立つ。


もちろん
小さな子供もたくさん
いるわけだけど。




雨はどんどん強くなり
ミッキーの絵が描いてある傘を
1本買った。



「相合い傘しよう」

と大川さんが言ったので
私は笑った。

相合い傘ではしゃぐなんて
小学生みたい。



雨でパレードは中止。

仕方ないから
カリブの海賊に乗ってみる。


大川さんは無邪気だ。
年上なのにかわいい。





「何か食べる?」

アトラクションをおりると
大川さんが聞いた。


「大川さんにおまかせする」


「まいったなぁ」



雨だしパレードはやらないし
時間的にも食事だけど
ディズニーランドの中で
おいしい店なんて多分ない。


「じゃあ今日はここは出て
 イクスピアリかどこかで
 食事にしようか」

「うん、賛成」



早々にディズニーランドを出て
イクスピアリ内の
イタリアンレストランに入った。


イクスピアリは
ディズニーランドのそばの
ショッピングモールだ。



私はわりと
ここの映画館が気にいっていて
友貴ともよく来た。




「あーあ残念」

レストランの席につくと
大川さんがため息まじりに
そう言った。


「そんなにディズニーが
 好きだったんだ?」

と私が言うと
大川さんがスネたような顔で

「ちがう。
 いいとこ見せたかったのに
 雨降るしさ」

と言ったので
笑ってしまった。




「ディズニーランドに
 連れてくことがいいとこ、
 なの?」

と茶化して言うと


「だって夜いきなり
 ディズニーランド連れてく奴
 あんまりいないだろ?」


と答えた。
また笑ってしまう。


「そんなの喜ぶの
 10年前の話じゃないの?」

「そーなの?!
 まぁ確かにオッサンだけどさぁ
 時代が違うのかぁ」




そう落胆した大川さんに
前より好感を抱いた。
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