等心大〜tou・sin・dai〜
気がつくと窓から
朝日が差し込むのが見えた。


いつのまにか
少し眠っていたらしい。



体を起こすと
ケータイを開いた。

朝7時。
メールが2件。




―誰だろ。

開いてみると
友貴と、大川さんだった。



大川さんからのメールを
すぐに見る気にはなれず
友貴からのメールを読む。



『今夜ヒマ?
 飯食いに行かないか?
 外で食おう。』



――友貴らしい。

用件だけしか書いてないの。

私は友貴の
こーいうとこ、ケッコー好き。



今夜は友貴と
久しぶりに会おうかな。



急いで返信する。

『オッケー♪
 じゃあ仕事終わったら
 部屋で待ってるね』



沈んでた気持ちが
少しアガッてくる。



やっぱり
友貴はまだ私の心の
よりどころなのかもしれない。



友貴といる方が
私、幸せなのかもな。
なんてふと思った。



ホント我ながら
変わり身の早いヤツ。

自分の気持ちなのに
全然わかんないや。







――愛したい。


誰でもいい。

誰かを、すごく愛したい。


収入とか外見とか
条件とか色んなもの

なんにも目に入らなくなるくらい
誰かを、愛したい。


友貴でもいい。
大川さんでもいい。
他の誰かでも、いいから
心から愛したい。




いつからか
相手の肩書きとか
他人からの評判とか
そういうのばかりに
目がいくようになってた。


いつからだろう。


恋愛至上主義に
なれなくなったのは。



恋愛がすべてじゃないとは
思ってる。

恋愛に人生振り回されるのも
愚かだと思ってる。


だけど
やっぱり、愛したい。
結婚する前に
人生最大の恋愛がしたい。

そして、
その人と結婚したい。


そう考えるのは
愚かなことだろうか。
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