初恋日記
「え!?」
…なんで!?
「田辺って人が昨日、会社はここだって言ってたからね。よかった寛ちゃんに会えて!」
「そういうことか。じゃあまたな吉澤!」
「え!?ちょっ…誤解すんなって!小森っ……うおっ」
小森を追おうとしたが、茜に腕を掴まれた。
「行かないで!あたしここで3時間くらい待ってたんだよ!」
「ええ~?」
そんなこと言われても…べつに待ち合わせしてたわけじゃないし。
「何だよ?…俺と一緒にいると姉さんに怒られるぞ」
「お姉は関係ないよ!寛ちゃんあたしのこと大好きなんでしょ!」
「は…?」
「あたしも大好き寛ちゃんっ!」
「うっ…!?」
茜は俺に抱きついてきた。なんなんだ!?
人が見てるっ…!
恥ずかしくて、俺は茜を連れて走って逃げた。
「はぁ、はぁ……」
「どうしたの?寛ちゃん」
「あのなぁ…ふぅ…」
バカか俺…。ひとりで逃げりゃよかっ…
「はははっ、寛ちゃん息あがりすぎ!」
「え?うるせ…」
茜は笑ってた。
まだあどけなくて…
あの頃の瑞季にそっくりだ…
「…やだ、そんなに見つめられたら照れるじゃん!」