晴れた空が見えるまで
第一章
町外れの何でも屋
どうしても困ったことがあったなら、町外れの古びたビルを訪ねるといい。
そう、死んだ祖父が言っていた。
それを思いだした私は、今そのビルの目の前に立ち尽くしている。
見上げたビルは確かに古い、と言うよりはボロいって言葉がしっくりくる。
もう一度ビルを見上げ、ため息をついた。
何やってんだろ、私。
こんな所に助け船がある訳ないのに。
諦めて立ち去ろうとした背中に、声が掛けられた。
「あっれ?こんな所に人が居るなんて珍しい……もしかして!ちょっと待って!」
肩を掴まれ振り向けば、帽子を深く被った長身の男の姿。
細身のすらっとした身長、正直女の私よりスタイルが良い。
「お姉さん、もしかしてここに用事?」
ここ、と青年が指したのは見上げていたビル。
「え、ええ……」
「久々のお客さんだ!俺、ここの人間なんだ。早速案内するよ!」
青年は私の手を引き、どんどん階段を上がっていく。
中も案の定古びていて、青年が二階のドアの前で足を止めた。
ドアに掛かっている看板には、
『何でも屋――ご相談承ります――』
の文字。
青年は躊躇うことなくドアを開けた。