晴れた空が見えるまで
「ただいまー!史郎、お客さんだよ!!中入って良いよ。」
青年が開けてくれているドアから中へ入る。
中には二つのソファー、テーブル、それから窓際に置かれたデスク。
デスクとソファーに一人ずつ男が寝そべっている。
他の部屋へ通じるであろうドアが3つ見受けられた。
古びた感じはしない。
ここだけ別空間のようだ。
「史郎、お客さんだってば!」
青年が声を張ると窓際のデスクで寝ていた男が、ダルそうに体を起こした。
「ふぁ~……客だって?」
「そ!」
黒い手入れのしていない髪は、あちらこちらに跳ねている。
無精ひげは放置され、この男の無気力さを表しているようだった。
男が視線を青年から私の方へ移した。
「あー……周平、ソイツ退けてソファー空けろ。」
グイッと顎で指したのは、ソファーの上で寝そべっている男。
「はーい。起きろよ、楓!邪魔!!」
私を連れてきた青年がソファーにいる男に跨り、その身体を揺すった。
「うるせー……上に乗んな。俺の上に乗っていいのは女だけだ。」
男は青年を振り落とすように寝返りを打つ。