晴れた空が見えるまで
が、青年も負けずに粘る。
「楓、お客さん来たんだってば!大好きな女の人!!」
最後の言葉で、男が勢いよく体を起こした。
その反動で青年が床に転がる。
「痛っ………楓!いきなり起きあがるなよ!」
非難の声は男に届いていないようで、私を視界に入れると微笑ましく近付いてくる。
「いらっしゃい。あんた、良い女だな。俺と一晩どうかな?」
「え、あの………」
肩まである長髪は焦げ茶色で、男によく似合っていた。
男は私に迫るように顔を近づかせる。
「あの、ちょっと……」
尚も近付く男の顔が、何かによって隠された。
「…………忍、俺の邪魔すんな。」
「邪魔じゃなくて、人助けをしたつもりなんですがね。」
声は私の右側から。
そちらを向けば、ニコニコと笑う優しげな男性が一人。
眼鏡の奥の目が、呆れた眼差しで長髪の男を見ていた。
手にはお茶を乗せるためのお盆があった。
「どう見ても困っていたでしょう?久々のお客様なんだから、大切に扱わないと。」
「チッ……もう少しだったのによ。」
長髪の男は諦めて、私から距離を取る。
「驚かせてしまってすみませんね。さあ、あちらへ」
眼鏡の男性に勧められ、ソファーに腰掛ける。
向かい側のソファーには眠そうな黒髪の男。
その隣に眼鏡の男性。
そしてソファーの後ろに青年と長髪の男が並んだ。