晴れた空が見えるまで
眠そうな男が、ダルそうに口を開く。
「あー……ここに来たってことは知ってると思うが、ここは何でも屋だ。その名の通り、依頼されたら俺達は何でもやる。で、俺が一応所長の黒部 史郎(クロベ シロウ)だ。」
名刺は持たない主義だと黒部さんは付け足した。
黒部さんが口を閉ざすと後ろに立っていた青年が、次は自分の番だと帽子を脱ぎ捨てた。
露わになった顔に、私は見覚えがあった。
「――あなた、人気モデルの“SHUU”じゃない!?」
彼の顔は誌面上でよく見ていた。
「うん、そうだよ。ちなみに“SHUU”は芸名ね。月島 周平(ツキシマ シュウヘイ)って言うんだ。周って呼んで。モデルは副業、こっちが本業。」
雑誌で見る笑顔がそのまま目の前にある。
不思議な感じ。
「俺は赤石 楓(アカイシ カエデ)って言うんだけど、やっぱあんた可愛いな。」
まじまじと見られると生返事しか返せない。
「楓、失礼ですよ。すみません、僕は水木 忍(ミズキ シノブ)と言います。今日はどういった用件で?」
水木さんの言葉で、自分がここに来た用件を思い出し、口を開く。