【完】溺愛プリンセス~最強Boysに愛されて~
それはそれは、艶やかに。
見るもの全てを惹き付けるような、魅惑
的な微笑みで、そう言うんだ。
「お前……馬鹿すぎ」
握りしめていた拳はいつからか開き、力
なくぶら下がっていた。
「そう。馬鹿でしょう?たったあれだけ
の出来事で、ここまで追い詰められてる
なんて……ほんとに、自分でも」
そう、思うわ。
形の良いその唇から紡がれた言葉は、空
気に溶けて。
「あれだけの出来事って、何だよ」
そう言えば、ソイツはその口元に、僅か
に弧を描いた。
「……さぁ?忘れちゃった」
どうやら、踏み込ませるつもりは、ない
ようで。
俺はそんなこいつに軽く舌打ちしてから
、その手首を掴んだ。
その瞬間、そのあまりの細さに、思わず
目を見開く。