【完】溺愛プリンセス~最強Boysに愛されて~
少しでも力を加えれば、折れてしまうん
じゃないかとさえ思うほど。
とても、脆く、儚くて。
ただ、その時だけは。
こいつがどうしようもなく、弱く、脆く
見えたんだ。
手首を掴んだまま、無言で歩き続け、資
料室の前でその手を離せば、生意気女は
ため息を吐き出した。
「なによ。結局、殴ってくれないの?」
そう言いながら、さらり、と黒髪を靡か
せる生意気女。
殴れるわけが、ない。
「……俺はな、殴ってほしいと思ってる
奴を殴る趣味はないんだよ。恐怖に怯え
て、痛がる姿が見てーんだからよ」
そう言えば、「物騒ね」と、そんなこと
思ってないような、感情の色が無い声色
で言う。
……ああ、鬱陶しい。
こんなにもモヤモヤするのが、鬱陶しい
。
「というか、私は教室に行くから」