【完】溺愛プリンセス~最強Boysに愛されて~
───目を、奪われた。
起き上がった彼を取り巻く、空気に。そ
の人並み外れている、容姿に。
さらり、と風に少しだけ靡くような、癖
のない真っ黒な髪の毛。
前髪から覗く瞳も、吸い込まれそうなほ
どの漆黒。キリッとした眉に、薄い唇。
驚くほど、怖いくらいに整った顔だと思
った。
そんな彼が、一度私を見てから、私の横
に視線を逸らす。
そして、私にキスをしようとしていた男
を少し、睨んだ。───そう、少し、だ
けだったのに。
「っ!」
横で男が息を呑む音が聞こえた。
それもそうか。彼の細められた目は、鋭
く男を見据えていて妙な威圧感があるの
だから───。
「何、してんだよ」