【完】溺愛プリンセス~最強Boysに愛されて~





このまま目が覚めたら、今までのことは
全部夢で──笑顔の絶えなかった、あの
四人家族に戻れたらいいのに。



だけど朝が来る毎に、これは現実なんだ
と思い知らされる。



千咲は助からなかった。


救急車に乗せられたときにはもう、息を
引き取っていたらしい。



その数日後、警察の人に「お母さんが目
を覚ましたよ」と言われても、嬉しさは
なくて。



ただ、やりきれなさと、怒りが燻ってい
た。



目が覚めた、といっても、母親は錯乱状
態で、会話するのも困難らしい。それに
、腹部の傷が深くて、しばらくは絶対安
静らしかった。



それでいい、と思った。



むしろもう二度と帰ってこなくていい。
もう二度と、会いたくない。



子供が母親に抱くはずの愛情や敬意は、
もはや欠片も残っていなかった。






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