【完】溺愛プリンセス~最強Boysに愛されて~
本当はそれも、知ってた。
だってあの日、母親が包丁を取り出した
あの瞬間まで、母親は決して俺たちに危
害を加えたりはしなかったから。
ご飯も作ってくれたし、あの日の前日も
、千咲と遊んでいた。
ただ少し、ストレスを溜め込みすぎただ
けだったんだろう。
だからと言って、許した訳じゃない。
もう死んでしまった千咲は、帰ってこな
い。それは事実だ。
「さようなら、類……」
「さようなら……母さん」
これでいい。
最後に"母さん"って心から、素直に呼ぶ
ことが出来た。
──それだけで、いい。
「……類!?」
インターホンの向こう側から、驚いたよ
うな麗ちゃんの声が聞こえてくる。