すっぴん★
「たとえば、このブレスレット。ニッケルが金鍍金の下地に使われて
いるんだ。ごめん。じつは、あの日これをしていたんだ」
俊介が、左手にはめたブレスレットを素の前に差し示した。
「あの日ってあの日、いやね。これ、はめていたの」
素が先日のラブホでの光景を思い出し、ほんの少し顔を赤らめた。
「うん。ごめんね。・・・この写真も見てくれる」
俊介がスマホの液晶画面に、ラブホで撮った写真を映し出した。
「あっ、本当だ。確かに、これだわ」
素が身を乗り出して、スマホの液晶画面のある部分に注目をした。
「犯人は、こいつじゃないかな。この写真では、君の顔と、ブレスレ
ットが少し離れているけど・・・。抱き合っていた時、こいつが君の
顔に触れた。そんな、記憶があるよ。ごめん。安物の金鍍金のブレス
レットなんかしなければ良かったよ」
俊介が、オーバーに素に頭を下げた。