すっぴん★
「そうだったかしら。まあ、いいわ。それから、どうなったと思う」
「ど、どうなったの」
俊介は一世一代の嘘を素から深く追求されず、胸を大きく撫で下ろし
た。
「かおるがゴミ屋敷のドアを開けた。そしたら、ゴミの山が、がつ~
ん。高橋君の瞳に、強烈過ぎるパンチを食らわしたの。汚いってもん
じゃないのよ。一度だけ、私もお邪魔したんだけど。ここは、大阪市
の臨時ゴミ捨て場よ。びっくりするわよ」
「女装の彼はどうしたの」
潔癖症の俊介は、かおるのゴミ屋敷の細部を思い出して、胸が悪くな
り吐きそうになった。
(うえっ・・・)
戻しそうになったゲロを、俊介は無理やり口の中に飲み込んだ。
ごく~ん。
口の中が、苦くいや~な味がした。
俊介は、素に悟られないよう作り笑いをした。