すっぴん★
「どうしたの。気分でも悪いの」
素が、心配そうな顔をして俊介に尋ねた。
「ゴミの山での二人を想像したら、胸が悪くなってしまって。ああ、
吐きそうだ」
「駄目よ。ここでは、迷惑よ。トイレにでも行ったら」
「ごめん」
俊介が慌ててトイレに走って行った。
俊介は超潔癖症。不潔極まりないあの情景を空想しただけで、胸が悪
くなったのだ。
俊介がトイレから戻って来た。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫だ」
冴えない顔で俊介が答えた。
「じゃ、そろそろ出ましょうか」
素が俊介の目を見て呟いた。
「じゃ、僕がお愛想をしてくる」
「いいの」
「俺が誘ったから、ここは払うよ」
「じゃあ、お言葉に甘えるわ」
素が俊介に小さく頭を下げた。
店を出た所で素が待っていると、俊介が勘定を済ませて出て来た。