すっぴん★
「ああ、空気がうまい」
俊介が大きく深呼吸をした。
超潔癖症の俊介。これは、彼にとって最高級の賛辞の言葉だった。
「珈琲入れるわね」
「ありがとう」
俊介が礼を言った。
テーブルの上には、畳んだノートパソコンだけが置かれている。
このテーブルも埃ひとつ無い。
そこへ、紙コップに入れた珈琲が静かに置かれた。
珈琲の芳しい香りが漂って来る。
「あなた、紙コップの方が良かったのでしょう」
「うううん。君んちのなら陶器でも飲めると思う」
素が思いもよらなかった言葉。その言葉が、俊介の口から飛び出した。
「嘘っ!どうして」
素は、俊介の言葉が信じられなかった。