すっぴん★
「ここの空気を心底旨いと思った。こんな経験生まれて初めてだ」
「・・・だから。だから、ここの珈琲茶碗でなら、飲めるかなと思っ
たんだ」
俊介が本心を素に素直に伝えた。
「・・・本当なの」
素は、俊介の言葉にじーんと来た。
好きだよ、と言われるよりも。
愛しているよ、と言われるよりも。
君んちの珈琲茶碗なら飲める、と言って貰った方が、素は何倍も何倍
も何倍も嬉しかった。
超潔癖症。
ワインバーに行っても、マイグラスで飲む俊介。
その俊介の彼女としては、今の所、まあまあ合格かなと、素は嬉しさ
をしみじみと噛み締めていた。