すっぴん★

「ようし、それじゃ、100円玉から始めよう。用意して」

俊介が100円玉に手を伸ばした。

「いいわよ」

素が、腕の内側を表にしてテストのスタンバイをした。

「じゃ、100円玉を載せるね」

俊介がゆっくりと、ゆっくりと、100円玉を素の腕の上に置いた。
素の腕に100円玉の重みが、ほんの少しだけ伝わって来た。


二人の目は、100円玉とその廻りに注がれている。


変化は無い。
100円玉を置いた素の腕の廻りに、何の変化も現れない。



「痒くない」


俊介が視線を素の腕の廻りに置いたまま、素に尋ねた。

「ないよ」

素が、100円玉を置いた自分の腕の廻りを見ながら答えた。
暫く経っても、何も変化は現れない。




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