すっぴん★

素の顔のすぐそばに、俊介の顔がある。
こんなに近くで俊介の顔を見た事は、素は初めて。


俊介の顔は、鼻筋が通って典型的な二枚目の顔をしている。


(清清しい顔だわ)


(大好きよ)


素が無言で俊介に呟いた。


「ごめんね」


突然、素が見詰める目を一瞬閉じて、俊介に謝った。

「何を」

俊介は首を傾げた。


「いつもすっぴんの顔ばかりを見せて。本当は化粧した顔も見て欲しか
った・・・」


そう言って、素が目を潤ませた。その目から、みるみる大粒の涙が、ひ
と粒流れ出て頬に止まった。

俊介が、その涙を口で優しく拭い取った。





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