すっぴん★
そこへ、女の店員が注文を聞きに来た。
二人は、ビールと適当に肴を見繕って注文をした。
すぐに、ビールが運ばれて来た。
俊介はガラスのコップがテーブルに置かれるや否や、それを忌々しそ
うに摑んだ。そして、目の上の高さまでそれを持ち上げて、透かして
見た。
「わあ、染みが付いている。これだから嫌なんだ」
急いでバッグから非常用のハンカチーフを取り出すと、俊介がコップ
を拭き出した。
何度も、何度も。
丹念に、丹念に。
間も無く、コップはピカピカに。
かおるは俊介の異常な目の輝きに、ただただ驚くばかり。
かおるの表情に俊介が気付いた。