人間クローバー
動こうとしない竜也に落胆した麻里花が、竜也の服の袖を引っ張って言った。


「別に君と不幸合戦したくて、ここに来た訳じゃ無いんだよ?」


(そんな事…わかってる。
でも…それでも……)

竜也は自分の口下手さに歯がゆさを感じる。



強く袖を引っ張っても、体育座りに微動だにしない竜也に麻里花は睨んだ。


それに気づいた竜也は素早く地面に目を向けた。



暫くすると麻里花は手を離した。


竜也は背中を丸め突破口を見つけだそうとしていた。

それは…麻里花と一緒にこれからの人生をやり直したいという竜也の思い。

お互い会話も無いまま時間も過ぎてゆき、麻里花は思い出すかの様に歌を歌いだした。

「新しい朝がきた
希望の朝が~」

竜也も知っている馴染みの歌だ。


歌の途中で麻里花は言った。

「私、この歌が大嫌いなの。」
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