DECIMATION~選別の贄~

「コピーは全部で48部だって言っただろうが!なんで2部も余計に勝手な判断で刷ってんだ」

櫛田に頼まれた会議の資料のコピー。

出席者48名分と確かに言われたが、それを佐竹は自己判断で予備を含む50部にして刷っていた。

実際後になって確認するとインクジェットが原因の印刷ミスが調度二部の中に見つかった。

「てめぇまだ入社して一ヶ月くらいしか経ってねぇのにもう自己判断で動けるとでもうぬぼれてんのか?あ?」

「申し訳ありません 」

本来ならば叱責されるどころか感謝されても可笑しくないその状況で、櫛田は狂ったように佐竹を怒鳴り散らした。

櫛田は最後に彼女が持ってきた資料を鷲掴み胸元に思いきり投げつけてデスクにかけ直すのだった。

「ちっ、くそ。

くそ」

ブツブツと言いながら爪を噛み続ける男の足元では涙を拭いながら佐竹が資料を拾い集めていた。

他の社員はやはり何も言わない。

見て見ぬふりをして自己防衛に努めているのだろう。

「今後この様なことのやいよう気を付けます。申し訳ありませんでした」

綺麗に整えた資料をデスクの端に優しく置いて、佐竹は深々と頭を下げて急騰室に向かっていく。

「あー、いらいらする。

なんなんだよ」

ぼりぼりと掻きむしる髪の毛がデスクに数本落ちていく。

櫛田は先程自分が散々怒鳴った社員が用意した資料を鞄に詰め込むと部屋から走るように出ていった。




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