DECIMATION~選別の贄~

それから中山が何か合図を送ると警察の制服に身を包んだ男が入ってきた。

スーツケースやコレクションと称された臓器入りのケースをパトカーに詰め込んで、佐竹は怪しい二人と共に車に乗り込んだ。

パトカーが走りはじめてわずかばかりして中山が少し真剣そうな顔で一言だけ佐竹に言った。

「これからは私のことはベロニカと呼んでね」

佐竹は消え入るような声で「分かったわ」とだけ答えた。

県外へと移動していく際に、佐竹の行方を追う検問が幾つかあった。

しかしパトカーはその検問は素通りすることができて、連続殺人犯の佐竹を乗せたパトカーは悠々と県外逃亡に成功してしまったのだった。

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