DECIMATION~選別の贄~
首と四肢は胴体から切り離されていて横たわる胴体を見つめるように地面に首が立てられていた。
首の近くにはまるで顔を覆い隠すかのように切り取られた手首が置かれて、その死後硬直してしまった細い指の間から、瞳孔が完全に開いてしまった瞳が無惨な姿にされた胴を見つめているかのようであった。
「まず間違いなく強姦目的による殺人ですね」
安岡は惨たらしい遺体をわずかでも視界から隠そうと、無意識に目を細めながらそう言った。
波田はただ真っ直ぐに遺体を見つめていた。
「……それで済む犯人像なら良いんだがな」
安岡は波田のその呟きの意味を、鑑識の結果を受けて初めて知ることとなる。
女性の身体には暴行を受けた跡があり、犯人のものとみられる体液も見つかった。
そして不可思議なことが1つ。
しかし周辺調査は続いても切り取られた足が見つかることはなかったのであった。